大きな原因として、ブリーダーをはじめとする繁殖業者がまるで物を生産するかのように次々と動物を生産し続けている事が考えられます。(日本でも同じような事が行われています)
2000年時の1000万匹と比べれば大幅に減少しているものの、この数だけをみると1年間で日本国内で殺処分される犬猫の数の約10倍にものぼります。収容された数と殺処分の割合を見ると約5割程が殺処分されています。
一方、日本では約9割が処分されていっています。つまり日本では収容される事は死を意味するのです。ここに日本の悪い癖である、ルールブックに従ってさえいれば良いというベルトコンベアー式の処理がされている事がうかがえます。
もちろん行政ばかりの責任ではなく国民の意識の低さにも問題があるのですが、扱っているのは命だという事を忘れないで頂きたいものです。
アメリカと日本の違い
さて、上記の数字だけ見ると、アメリカの方が酷い現状ではないか!と感じられることと思います。確かに殺処分数だけみるとそうなのですが、数年後の未来を視野に入れた場合、日本とアメリカでは明らかに違う点があります。
■シェルターの存在とその認知度■
アメリカで飼育を放棄されたペットや保護された動物はシェルターと呼ばれる動物保護施設に収容されます。行政の運営するものと、民間の非営利団体が運営するものとがあり、全米に5000カ所以上もあるといわれ、その存在も国民に広く認知されているお馴染みの存在となっています。
日本にも存在するものの民間がボランティアで運営するものでアメリカや欧州諸国のものとは規模、設備共に比べものになりません。
また、日本では国民の関心、意識の低さから運営費の調達が困難であり、資金面でも継続性に不安を残します。
日本では保健所や動物愛護センターと呼ばれる施設に収容されますが、経費の増大を理由に通常たった3日〜7日間程度の保護期間を経て殺処分に回され、場合によっては即日処分されるケースも珍しくありません。
あくまでも生かし、助ける事を前提に収容されるアメリカのシェルターとは根本的に存在する意義が異なるように思います。
■販売・繁殖業者への規制■
アメリカでは犬猫の店頭販売を法で禁止する動きが急速に広がっており、今後ペットショップがなくなっていく方向にあると言って良いでしょう。また、そういった世論を受け自主的に閉店するペットショップも出てきているとか。
また、「犬猫を購入するときシェルターへ行く」という認識が定着してきており、次回の犬猫購入時にはペットショップを利用しないという人が多くを占めているそうです。
一方、日本では犬猫の店頭販売や生体販売自体への規制の強化を願う声は高まりつつあるものの、2010年時点ではまだ「犬猫はペットショップで買う」という認識を持つ国民が大多数を占めるため、今すぐに法律で規制するというのは非現実的だと思われます。
やはり、まずは国民の犬猫の命に対する意識の向上を促す事が第一歩ではないでしょうか?
■アニマルポリスの存在■
アメリカやイギリスにはアニマルポリスよばれる動物に関する犯罪を取り締まる組織が存在し、社会でも認められたとても人気のある職業です。
法律に基づき、動物の虐待者や飼い主の義務違反を捜査・告訴・逮捕・指導するとともに動物を保護する活動を行っています。名前の通り動物の為の警察のような存在です。
このように社会全体で動物の安全や権利を守っていこうという社会構造なのです。
一方、日本には「動物愛護法」がありますが、それを取り締まる専門的執行機関がないために、法律が絵に描いた餅状態になっているという残念な状況です。
そういったことから、日本にもアニマルポリスを作ろうという動きも見られます。